2017年10月19日、埼玉県立鳩山高校で災害時対応教職員研修を担当しました。避難所運営ゲーム(HUG:静岡県ホームページ )を用いて、高校を避難所として開放する場合の対応について考えていただきました。高校周辺には小中学校がなく、またご高齢の方が多く居住されているということで「いちばん身近で安心できるところ」として高校が避難先になることも想定される場所です。多くの教職員が参加し、それぞれの班ごとに対応を協議しながら避難所運営について考えました。
2017年10月19日、埼玉県立鳩山高校で災害時対応教職員研修を担当しました。避難所運営ゲーム(HUG:静岡県ホームページ )を用いて、高校を避難所として開放する場合の対応について考えていただきました。高校周辺には小中学校がなく、またご高齢の方が多く居住されているということで「いちばん身近で安心できるところ」として高校が避難先になることも想定される場所です。多くの教職員が参加し、それぞれの班ごとに対応を協議しながら避難所運営について考えました。
埼玉県から「コミュニティスクール」として指定されている、本庄市内の中学校で職員研修を行いました。教員だけでなく、教育委員会、PTA、自治会長さんなど約50名が参加され「学校・家庭・地域の連携よる災害に強い地域の輪」について、講義・演習を行いました。
演習では避難所運営ゲーム(HUG)の図面を学校オリジナルのものにアレンジしていただいたものを使用しました。参加された先生からは「実際の学校の図面を使うとリアリティが違う」、「マンホールトイレなど、教員でも場所が分かっていない場合もあり、よい機会になった」とお声がけいただきました。
研修の様子は、平成29年8月25日(金)の埼玉新聞県西・県北版に掲載されています。紙面をご覧になりたい方は事務局までお問い合わせください。
(宮﨑賢哉)
神奈川県安全防災局と県教育委員会・教育事務所が連携して開催する『平成29年度学校保健・学校安全研修講座』で、防災教育の重要性に関する講義と、防災教育プログラム「避難誘導に協力しよう!」を用いた模擬授業を行いました。7月4日と21日の2回にかけて行われ、合計で約200名の教職員が参加しました。
同プログラムは、株式会社地理人研究所 様[外部リンク]のご協力を得て作成した、主に中学生を対象とした防災教育教材です。参加者は地震が発生した仮想の街に住む中学生となり、校内図面と周辺地図を用いて、様々な避難者の誘導に協力します。
具体的で自由度の高いシナリオとリアルな「仮想の街」の地図、教材用に区分けがしやすい校内図面などを用いることにより、どんな場面でも扱えるプログラムになっています。なお、同プログラムで使用する教材集(下記)は、無償で提供しています。改変・再利用等も自由ですので、各校各地域の実情に応じてご活用ください。
◆指導用スライド(PowerPoint形式)
◆児童生徒用説明資料(Word形式)
◆訓練用シナリオ(Word形式)
◆座標付き学校間取り図(PDF形式)
◆周辺地図(PDF形式)
冒頭の講義では、新学習指導要領に照らし合わせて考えるこれからの防災教育のポイントや、東日本大震災において当時「奇跡」と呼ばれた事例が、奇跡ではなく防災教育や地域活動での結果に基づく「できごと」であったことなどを紹介しました。
また「どのような学びが児童生徒の命を守ることにつながったか」といった点についても、調査結果や具体的な事例を交えてご紹介し、今後求められる防災教育のあり方に関する具体的な事例として『地域における防災教育の手引き』の解説を行いました。
その後、各学校で自由にアレンジすることもできる防災教育プログラムを用いて、実際に児童生徒に実施した際の時間配分や説明の流れを用いて「模擬授業」を行いました。
まとめとして「防災教育や防災ゲームは、実践してみなければ分からないことがたくさんある。ほんの小さなこと、マネできるところからでもよいので、積極的にチャレンジしてみてください」とお伝えしました。
参加した小中学校等の教員からは「防災教育の優秀事例ばかり見てきて、自校でできるか不安だったが、できるところからで良いと聞いて安心した」、「避難誘導のゲームはすぐに教員研修や生徒に使えると思った」といった感想がありました。
(担当:宮﨑)
都内の社会福祉法人が運営する保育園の新入職員研修を担当しました。
冒頭に園児や幼児でも楽しみながら安全行動を学べる防災教育教材「ぼうさいダック」を使った準備運動を行いました。東日本大震災当時の保育園の対応を記録した映像資料「3.11その時保育園は」の一部を視聴し、平時からの訓練、保育士としての心構えについて理解していただきました。
引き続き、ワークショップで地震災害が発生した場合に心配なことや不安なことを書き出してもらい、保育園の災害対応フローに基づく講義を踏まえ、解決策や予防策も考えてもらいました。 課題及び解決策は、災害発生(今回は園児が午睡中、5歳児クラスのみホールで遊び中の地震)から30分以内、3時間以内、3日間以内という大きな3つの時間軸で検討しています。
園の防災マニュアルを前提としますが、今回はあえてマニュアルを使わず、参加者自身の知識や経験に基づいて考える機会となりました。
カテゴリ:活動実績
本記事は静岡県が開発した教材「避難所(H)運営(U)ゲーム(G)」を用いた研修会、授業を実施するにあたってのポイントをまとめたものです。実施の環境や条件によって適切な実施方法などは異なる場合がありますので、予めご了承ください(2015年5月現在)。
◯ 避難所(H)運営(U)ゲーム(G)、一般住民向けシミュレーション型訓練。
◯ 目的:避難所で起き得る状況の理解と適切な対応を学ぶ。
◯ 概要:ある市の避難所運営を任されたという想定の下で、次々にやってくる避難者の状況や要望を考慮しながら、迅速かつ適切に対応する術を学ぶゲーム様式の教材。
◯ 配役:進行役1名、プレーヤー最大9名/班程度(うち記録係1名、発表担当1名など)。
▶ 静岡県地震防災センターホームページ(教材購入もこちらから)
HUGを使った研修や授業をより効果的にするための、研修・学習目の考え方についてご紹介します。具体的に設定したほうが指導者の方も参加者も理解しやすいかと思いますが、実施環境や参加者の状況に合わせてご検討ください。
児童生徒が保護者や教職員と共に、避難者として避難所運営に関わることも考えられます。HUGを使うことで避難所運営や避難生活にどんな難しさがあるか、自分たちに何ができるか、普段からどんな備えをしておいたらよいかといった点について、具体的に考えるきっかけをつくることができます。
学校独自の、あるいは市区町村等から出された「避難所運営マニュアル」などがある場合は、HUGを使うことでマニュアルに記載された通りの運営ができるかどうかを確認することができます。とくにマニュアルなどが整備されていない場合は、どの施設・教室を何のために開放するのかなどを検討するための手段としても有効です。
HUGのカードには様々な避難者が想定されています。乳幼児や妊産婦、高齢者、障害者、外国人、傷病者や遺児なども含まれています。自治体職員として公平・平等の考え方は大切にしながらも、配慮が必要な方にはどのように対応したらよいのかを限られた時間で考え、話し合うことで、その後のマニュアル作りや既存のマニュアルの改善などに活かすことができます。
避難所の運営主体は、自治体職員や施設職員(学校教職員や、体育館の指定管理者等)ではなく、あくまで住民(避難者)主体である、というのが原則です。とはいえ、施設を利用する以上は、何でもかんでも住民(避難者)で決めてよいというわけでもありません。もし施設でマニュアルが作成されていれば、それを用いて研修を行うことがよいでしょうし、作成されていなければ、住民目線で実施した結果について施設の方と共有し、実践的なマニュアルづくりにつなげていく、といったこともできます。
2時間から3時間程度を推奨します(教材の使い方を簡略化すれば45分程度でも可能です)。定員については教材さえあれば多くても少なくても、それほど影響はありません。講師や指導員が1名の場合、全体を細かくチェックできるのは50人くらいまででしょうか。550人以上で同時に行う場合は、補助的な指導員やサポートスタッフを用意するなどの工夫が必要な場合もあります。
島形を作り、1班5〜7人くらいで行います。机は学校等にある長机を2〜3つ合わせたくらいがちょうど良いです。説明や指導、状況付与でプロジェクターや黒板を使用する場合もありますので、配置は下記イラストのようにすると参加者が見やすくなります。HUGの教材セットのほか、水性マーカーや付箋紙などもあると作業で役立ちます。
HUGを実施する前に行う事前準備のチェックポイントを整理してみました。必要な項目を確認していただくと、スムーズに運営できます。
・2時間~3時間の実施時間は確保できていますか。
・2時間以下の場合は講師や指導員の方と、詳しく打ち合わせることをお勧めします。
・会場は可動式の机、椅子になっていますか。
・プロジェクターやスクリーン、ホワイトボードなどは使えますか。
・1班は5~7名くらいとして、班の机は長机2~3つくらい必要です。
・レイアウトは参加者から講師や指導員、スクリーン等が見やすくなっていますか。
・HUGのカードセットや間取り図のデータは講師から借用するか購入しておきます。
・自治体や学校でマニュアルやガイドラインを発行していたらチェックしておきます。
・講師、指導員を外部に依頼している場合は、マニュアル等の情報を共有しておきます。
・とくに作成されていないようであれば、ぜひこの機会に作成を検討してみてください。
こちらで紹介する内容は教職員や地域住民向けの実施内容です。
1.進行役が避難者の情報等が書き込まれたカードや、何らかの事態発生を知らせるカードを読み上げる。【実際に避難者が来たと想定してください】
2.プレーヤーは読み上げられた情報に基づき、避難者カードの場合は、配置を決め、その場所にカードを置く(図参照)。事態発生への対応も決定する。
3.進行役は、プレーヤーに時間的余裕を与えることがないように次々にカードを読み上げる。
4.ゲーム終了後、避難者の配置や事態対応の是非について話し合い、よりよい避難所運営方法を学ぶ。
(図1 HUGカードと各種図面の使用例)
▼地震発生:[ 季節 ]の [ 平日・祝祭日 ] 、[ 午前・午後 ]、[ 時間 ]。この地区では一部で最大震度7を観測。
▼生徒は不在の想定、数名の教職員が初動対応にあたっている。
▼参加者は発災から [ 時間 ]後に集まった、住民や教職員(管理職)、自治体職員等の立場になります。
▼同じグループの人は、いちはやく学校に到着したつもりで、次々にやってくる避難者の状況や要望を考慮しつつ対応する。突発事態にも対応する。
▼任された避難所:学校が避難所になったと想定します。管理職や他の教員は出勤しておらず、自治体担当職員も駆けつけることができない状況(つまり、規定のリーダーは不在の状況)と考えてください。
▼カードの大きさは、ほぼ避難者1人分の面積に相当します。避難者をどこに割り当てるか決めて、そこに置いてください。自動車やペットなどは、ポストイットに記入して貼付するか、別添シートに直接記入してください。
▼記録係は質問への回答や、とった対応、出てきた疑問や意見等を記入してください。
その他、細かな設定は各グループで決めていただいて結構です。
HUGで学ぶこと:起きる状況の理解と適切な対応を考える
時間経過とともに、避難所の役割も変化します。HUGは、初期の避難所運営に関わる問題を理解してもらうための教材です。事前の避難所運営マニュアルの作成、検証、訓練が重要です。
HUGの実施後、できれば15分~30分ほど振り返りの時間をとります。「どんな課題、気付きがあったか」や「どんな備えや行動が求められるか」といった点について、参加者同士で話し合ってもらうと、様々な意見が出てきます。できる限り具体的な課題、対策を挙げてもらうようにするのがポイントです。
小学校、中学校、その他の一部施設は避難所として市区町村から指定されてはいるものの、あくまで教育等のための場であり「生活の場」として考えられている施設ではありません。その施設としての第一義的な役割、学校であれば「児童生徒や教職員の安全・安心」等が揺らぐような体制や運営を避けるためにはどうしたらよいのかを考え、備えておくことが必要です。 また、本来はなるべく避難所で生活してなくてもよいことが重要(在宅避難=家屋が無事であれば、ライフラインが断絶していても生活できる備えをする)なので、避難所運営そのものだけでなく、平時の備えについても考えられるような”まとめ”が求められます。
振り返りシートやアンケートなどで、研修や授業についてのフィードバックや評価を確認できると、次につなげることができます。振り返りで出てきた課題や気付き、対策などはマニュアルや今後の防災対策全般にも活用できる情報ですので、なるべく文面で残してもらえるようにします。
[参考動画:発災直後の避難所における要援護者トリアージ]
※映像につきましては 武蔵野地域防災活動ネットワークCOSMOS/日本赤十字看護大学 へお問い合わせください。
カテゴリ:教材・事例紹介