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【会員レポート】小学校高学年向け『写真解説付き教材』について ~東日本大震災を体験した子供達の想い・考えを、次世代に伝える教材~

 

【会員レポート】では、本協会会員の皆さまから寄せられた防災教育実践報告などをご紹介しています。掲載をご希望の方は、事務局まで情報をお寄せください。また、レポートを掲載された方へのご相談や講師派遣依頼につきましても、事務局までお気軽にお問い合わせください。

 


 

情報提供者:小笠原 潤(岩手県立宮古高等学校定時制 講師) 会員
情報提供日:2026年8月18日
連絡先  :TEL. 0193-63-6448
      MAIL. ptf60-j-ogasawara(アットマーク)iwate-ed.jp 

 

準備の段階

● 実践・実施のきっかけや経緯

 東日本大震災発災から15年を経過し、震災当時生まれていなかった子供達が中学校や高校に入学してくる現在、地域に根ざした防災・減災についてどのようにして伝え、考えてもらうかを工夫していく必要を感じていた。

● 計画や準備で気をつけたこと

 東日本大震災が発生した2011年から2021年まで、被災地域にある5つの高校(宮古、久慈東、山田、岩泉、宮古北)において、2012年12月にインドネシアのアチェ州を取材したうえで『インド洋大津波と東日本大震災の比較』というタイトルで、防災・減災や復興、国際理解、環境問題等について情報を提供する授業やプリント学習を実施してきた。その中には、震災当時高校2年生だった生徒から保育園年長だった幼児まで(12学年分)の生徒達の震災時や震災復旧・復興時の想いや考えが、授業の内容をふまえた600字の小論文という形で多数記録されている。
 これまで、多様な視点の小論文を現役の高校生に『朗読』してもらうことにより、被災した当時の子供達の想いや考え、そして感情が、読み手の生徒達はもちろん聴く側の生徒達により強く伝わる授業を実践してきた(2025年9月16日2025年12月3日2026年7月17日付けの【会員レポート】3編を参照)。
 今回、小学校高学年向けにインド洋大津波や東日本大震災による被害状況、あるいは防災・減災、支援活動・国際協力などについてイメージしやすい工夫を加えた教材を作成した。
 また、小学校高学年向けに、より『朗読』しやすい工夫、および『ワークショップ』のやり方などについても改良を加えたので、紹介する。

 

実践の段階

 

● 実施した内容

1) 作成した教材

 小学校高学年向け『写真解説付き教材』【インド洋大津波と東日本大震災の比較】版(15編)(参考資料①)を作成した。

2) 工夫した内容

 ⅰ)全ての作文の1編ずつに2枚の写真が付いていることにより、『インド洋大津波
   (2004年発災)』や『東日本大震災(2011年発災)』等に関して、被災者である
   高校生達の想いや考え・感情などがイメージしやすくなっている。
   また、全ての写真について作文の次ページに、解説を付けている。
 ⅱ)全ての漢字やカタカナ・年号等に「ふりがな」を付けたことで、『朗読』しやすくなって
   いる。
 ⅲ)グループ(班)討議で使用するワークシートを、小学校高学年向けに改良した。

3) 利用法

・実践例1(50分コース)
 ⅰ)掲載されている15編の中から9編を選び、配布する(「導入」を含め、約5分)。
 ⅱ)児童もしくは教員が、配布した9編の作文を『朗読』する(約25分)。
 ⅲ)各児童が9編の中から1つの作文を選んだうえで、以下の課題について簡単に書き出す
   (約5分)。
   (別紙資料1(小学生用)
    A:高校生の作文を読んで、感じたことを書いてみましょう。
    B:あなたが選んだ作文を読んで、これからあなたができることを書いてみましょう。 
 ⅳ)選んだ作文ごと、もしくは合併で数人の班を作り、別紙資料2「グループ討議」(小学生用)
   に沿って話し合い、班ごとに発表する。(班分け:約5分、グループ討議・発表:約10分)

・実践例2(50分×2コース)
 ⅰ)震災学習や防災学習などの情報を提供(約30分)。
 ⅱ)掲載されている15編の中から9編を選び、配布する(約5分)。
 ⅲ)参加者(児童等)もしくは開催者(教員等)が、配布した9編の作文を『朗読』する
   (約25分)。
 ⅳ)各児童が9編の中から1つの作文を選んだうえで、実践例1の(ⅲ)と同じ課題について
   簡単に書き出す(約10分)。(別紙資料1(小学生用)
 ⅴ)選んだ作文ごと、もしくは合併で数人の班を作り、別紙資料2「グループ討議」(小学生用)
   に沿って話し合い、班ごとに発表する。(班分け:約5分、グループ討議・発表:約25分)
 ⅴ‘)または、作文中の語句や『いわて震災津波アーカイブ~希望~』等を参考に、ネットを
   使い「調べ学習」を各自、あるいは班で行い、後日発表する。(50分×4コース)

・実施上の留意点
1 朗読するのは、小学校高学年が望ましい。しかし、児童による朗読が難しい等の状況によって
  は教員や主催者による朗読でもよいし、各児童の黙読でもよい。
2 作文1編の朗読に要する時間は、おおよそ2分である。(朗読の前後に必要な時間を加味する
  と、1編=約2分30秒。)
3 朗読する作文の数は、9~15編が適当であるので、「導入」や「グループ(班)討議」等に
  必要な時間を考慮して数を決める。(場合によっては、より少ない数の作文に限定しても
  よい。)

 

● 実施中や実施後の参加者の反応

 この教材を用いた小学校高学年向けの授業はまだ実施していない。しかし、上記3編の【会員レポート】の際に実施していた『インド洋大津波と東日本大震災の比較』の高校生向けの授業が実施されなくても、今回各作文に付けた2枚の写真を見ることにより、そしてその写真の解説を読むことにより、書いてくれた震災を体験した高校生たちの想いや考え・感情について参加した児童がイメージしやすくなっていると思われる。そのため、今回小学校高学年向けに工夫した『教材』は、「いつでも誰でも簡単に使用できる教材」になっていると考える。
 また、掲載した作文の中では、震災当時の自らの体験をふまえたうえでの教訓や、これからの自分に何ができるのか等について述べていることから、多くの参加した児童の共感を得ることができると考える。
 

継続の段階

 

● 課題に感じたこと

 これまで高校の教員としてしか教育活動を行ったことがないため、小学生がどのくらいの漢字を読めるのか、語句の意味を理解できるのか、意見を出し合えるのか等々について把握できていない。
 そのような状況にも関わらず『小学校高学年向けの教材』を作成し【会員レポート】として公表したのは、現在実際に小学生に教えている方だけではなく、教えたことがある方、あるいは小学生のお子さんがいる方、そして現在小学生の子供たちなど多くの方々からご意見を頂きたいと考えたからである。

● これからの期待や展望

 東日本大震災当時、高校2年生だった生徒から保育園年長だった幼児まで(12学年分)の生徒達の震災時や震災復旧・復興時の想いや考え・感情が書き込まれた小論文(作文)は、震災学習や防災学習において貴重な資料であると考える。
 この資料を多くの教育現場で「教材」として活用していただきたい。
 また、この15編の『写真解説付き』作文は、親子で一緒に読み、さらに子供たちが声に出して読むことで「自分事」にできるという利用法にも適していると思うので、できるだけ多くの親子に活用していただきたい
 今後、今回作成した「小学校高学年向け」だけではなく「中学生・高校生向け」の教材をブラッシュアップしていきたいと考えている。また、「小学校低学年向け」の教材や、防災・減災学習と共に日本語学習を一緒にできる外国人向けの「日本語学習用」教材を検討している。
 加えて、「幼児向け」に、生徒達が書いてくれた小論文(作文)の内容を「絵本」や「紙芝居」にできないかを検討しているが、私だけの力では難しいので、「絵本」や「紙芝居」を作成するノウハウに詳しい方からのご連絡をお待ちしている。

 

 

● 実践中の写真