トピックス

【会員レポート】 インド洋大津波と東日本大震災の比較① 『国際支援・異文化理解』

【会員レポート】では、本協会会員の皆さまから寄せられた防災教育実践報告などをご紹介しています。掲載をご希望の方は、事務局まで情報をお寄せください。また、レポートを掲載された方へのご相談や講師派遣依頼につきましても、事務局までお気軽にお問い合わせください。

 


 

情報提供者:小笠原 潤(岩手県立宮古水産高等学校) 会員
活動実施日:2022年6月~9月
情報提供日:2022年9月8日
連絡先:TEL. 0193-62-5550
    MAIL. ptf60-j-ogasawara(アットマーク)iwate-ed.jp

 

準備の段階

 

● 実践・実施のきっかけや経緯

 東日本大震災発生当時、まだ小さかったり生まれていなかった子供達が高校へ入学してくるようになる事が予想され、地域に根ざした防災・減災についてどのようにして伝え、考えてもらうかを工夫していく必要を感じていた。
 一つの方法として、『インド洋大津波と東日本大震災の比較』に関する授業を実施したうえで、東日本大震災が発生した2011年から2021年の11年間に収集した「防災・減災」や「国際支援と復興教育」「環境問題と防災教育」等に関連する162編の小論文を教材とすることで、その想いや考えを現在や未来の高校生に引き継ぎ、新たな行動へ繋げていきたいと考えている。

● 計画や準備で気をつけたこと

 元になる資料(2021年11月22日付けの【会員レポート】参照)は、岩手県沿岸の被災地にある5つの高校(宮古、山田、久慈東、岩泉、宮古北)において、震災当時高校2年生だった生徒から保育園年長だった幼児まで(12学年分)の震災を体験した高校生が、震災時や震災復旧・復興時にどのように想い・考えたかを600字の小論文で記載したもので、全162編ある。それらを6つのテーマ別に30~36編にまとめることで、被災地の子供達の想いや考えを次世代や体験していない人達に分かりやすく継続して伝えていけるように教材化した。

 

実践の段階

 

 ● 実施した内容

1) 授業の実施

今年4月から勤務する宮古水産高校において、理科の授業(『科学と人間生活』、『生物基礎』) の中で1・2年生全員を対象に『インド洋大津波と東日本大震災の比較 ~思いやりの心と笑顔の地‐アチェ~ 』という題名でスライド写真や動画を見てもらい、インドネシア・アチェ州の人々の生活や文化・自然、そして日本人にはなじみのないイスラム教等々を紹介したうえで、2004年のインド洋大津波による被災状況や復興の現状・未来に向けての活動等を紹介した。授業の中では情報提供を集中的に行うが、生徒たちが受け身だけで終わらないよう、授業内容に関する 「確認プリント」を配布して記入させながら授業を進めた。なお、東日本大震災に関連した内容の際には、生徒達の精神的な負担にならないように配慮して実施している。

2)プリント学習(2022年7月に宮古水産高校で実施した内容を添付)
 授業の内容について振り返って再度確認できるように、授業内容に加えて授業で使用した「確認プリント」の答や生徒達の感想・意見、アンケート結果などを組み入れたプリントを作成した。生徒達への提示方法は、写真を掲載することが多いのでカラー印刷のプリントをラミネート加工したうえで各クラスに掲示し、加えて白黒版のプリントを各生徒に配布した。

e78f64781f3d6b49aca2311bb5c28846

▼実施結果の一例 

「確認プリント」の(18)~(19)の解答です。
(18)アチェのほとんどの地域では、『地震の後に( 津波 )が来る』という伝承や( 教育 )がほとんどなかったため、約16万人の方々が亡くなった。
(19)アチェの人々の心の拠り所はイスラム教であり、( 思いやり )の心や( 笑顔 )も、そこから発していると考えられる。

『ノアの箱船』をはじめ、『津波博物館』や『津波の浸水高を示す塔』などアチェの人々が震災の記録を残そうとしていることをいろいろな場面で強く感じました。その理由として考えられることがあります。

魚を持って逃げる人の絵(津波博物館)

右に、津波博物館に展示されていた1枚の絵を大きく掲載しました。絵の中央下の人が持っている白いものや、右側の海底だった所に見える白いものは魚です。実は、アチェのほとんどの地域では、約100年前にも大津波があったにも関わらず『地震の後に、津波が来る』という伝承や教育がほとんど無かったそうで、津波が来る前兆として潮が大きく引き、魚が跳ねているのを捕まえにいった人々も多くいたようです。そのため、東日本大震災と同じ位の規模の津波により約16万人の方々が亡くなりました。その悔やんでも悔やみきれない反省を踏まえて、震災の記録を残すことに全力を傾けているように感じました

3)教材化した小論文の配布(教材資料を添付)

6つのテーマのうち、前々回(2022年1月21日付けの【会員レポート】参照)は『セレクト4(人間と自然との共生)改訂版』について、前回(2022年5月18日付けの【会員レポート】参照)は『セレクト6(東日本大震災を後世に伝える方法)改訂版』について実施したが、今回は宮古水産高校の1・2年生に対し、「理科の夏休み課題」として『セレクト5(国際支援・異文化理解)』(30編)を配布した。

b169342a6c548d0327304f76d2d72b36

▼実施結果の一例

02)平成23年度宮高3年 Sさん(震災当時、宮高2年) 『私が考える(できる)国際協力や支援活動』

 私が考える国際協力とは、ただ物資を送るということではないと思う。お互いがお互いを助けたいという気持ちを持つことこそが国際協力なのではないかと考える。
 今、世界では紛争が起きていたり、飢餓で苦しむ人がいたりとたくさんの問題を抱えている。そして、3月11日に東日本大震災が起き、支援が必要な人が大勢いる。大震災を経験し、人の命の尊さ、今までの自分の生活がどれだけ贅沢だったかなど様々なことを考えさせられた。中でも強く思ったことは、協力し合うことの大切さだ。避難所にボランティアに行ったおり、外国のボランティア団体も多く見かけた。その中の1人がおばあさんの肩をもみ「僕らがいるよ」と片言で話しかけていた。そしておばあさんが「力になりたいって思ってくれることが一番うれしいよ」と言っていた。私はその通りだと思った。確かに、物資の支援がとても大切で、物資がないと生きていけない人もたくさんいると思う。でも、力になりたい、助けたいと思うことが支援される側も一番嬉しいと思うし、その気持ちが一番大切なことだと思う。力になりたいと思う気持ちから国際協力は始まっていくので、その気持ちを持つことが大切だ。
 世界には、まだまだ知らない問題があると思う。私は問題を知り、理解することから支援につなげていきたいと思った。

08)平成25年度宮高1年 Sさん(震災当時、豊間根中1年)『3.11から三年目の今、私ができること』

 現在、私達がすべき復興への手助けは、一番はまず「伝える」ことだと思う。アチェの地にある『津波博物館』や、『ノアの方舟』で助かったガヤさんの語り部としての活動のように、後世に残せる形で伝えていかなくてはならないと思う。私は中学3年生の時、近い将来に大地震や大津波が来ると言われている和歌山県に、被災地の学校の代表の一人として講話をしに行ったことがあるが、やはり私達が身をもって痛感した悲しみや辛さ、震災への備え方は、できるだけ広める必要があると思う。二番目は、「切り換える」ことだと思う。アチェの人々は、大災害を神様の恵みとして受け止め、プラス思考で前に進んでいる。「日常への感謝」や「たくさんの人との出会い」は、あの大災害があったからこそ在るのである。命や大切なものもたくさん奪われたが、得たものも少なくはない。そして、三番目、「返す」ことにつなげることが必要なのだ。「今までの分」「これからの分」、私達が大災害を経験し、学んだこと、活かせたこと、失敗したことなど、全てを他の人の役に立つように使い、恩を返すのだ。
 資料を読んで、文化は違っても「思いやり」や「助け合い」の精神は、どこにでも同じく存在していることを知った。文化や国境を越えた思いやりや助け合いの輪は、無限に広がると思う。そしてそれは今、私達がやらなくてはいけないし、私達が広げていくべきだと考える。

 

4)代表的な想い・考えを生徒に提示(実施結果を添付)

3)で配布した30編から生徒達それぞれが選んだ1編について、生徒達が書いた「筆者の想い」や「共感した所」「今の自分ができること」をプリントにまとめた。それらを読むことにより地元の先輩達の想いや考えを引き継ぎ、さらに自分の想いや考えを深め発展させることができた。

c73ff30af7f0902f4a238c5ebae45e3e

▼実施結果の一例

令和4年度 理科の夏休み課題(小論文) 

 今回、1・2年生理科の夏休み課題として小論文を提出してもらいました。内容は、東日本大震災が発生した2011年から2021年まで、被災地域にある4つの高校(宮古高校、山田高校、岩泉高校、宮古北高校)において生徒の皆さんに書いてもらった『国際支援・異文化理解』に関する小論文の一部をまとめたもの(30編)の中から1つを選び、以下のA~Cについて書いてもらいました。

:あなたの選んだ小論文の筆者は、どういう想いでこの文章を書いたと思いますか? あなたの考えを80字以上~100字以内で述べなさい。

あなたが共感したのはどういう所ですか? 80字以上~100字以内で述べなさい。  

:あなたが選んだ小論文を読み、これからあなたができることを、260字以上~300字以内で述べなさい。

 提出してもらった中から、「そんな想いもあるんだ」や「そういう視点もあるんだ」という内容の代表的な小論文を、皆さんにもお知らせしたいと思います。(選んだ小論文も添付)

(1)(令和4年度宮古水産高校1年 Aさん)(震災当時、保育園年少)

A:「筆者は、どういう想いでこの文章を書いたのか?」

 母親を亡くし前に進めない状況だったけど、周りの人が支えてくれたおかげで元気を取り戻し立ち直れたので、支えてくれた人達に感謝している気持ちと、いろいろな人に支えられた分、次は自分が恩返しをしようという気持ち。

B:「あなたが共感したのはどういう所ですか?」

 大切なものをなくす辛さを共感できた。その中で周りの支えがあるとすごく救われると思ったので、誰かが辛いときに助け、人の支えになれるような人間に自分もなりたいと思った。

C:「選んだ小論文を読み、これからあなたができることは?」

 私はこの小論文を読んで、辛い時に少しでも誰かの支えがあるとすごく救われるんだということが分かった。これからは誰かが辛い時や困っている時に、自分が支え助けてあげられるような人になりたいと思う。また、誰かに助けられたら、そのことを絶対に忘れないで、してもらったことを次は自分が返してあげられる人になりたい。そのためには、多くの人と接し、交流関係を持っていた方が助けてあげやすいと考えたので、日頃から地域の活動に積極的に参加し、年齢を問わずたくさんの人と接したいと思う。そして、この小論文の筆者のようにいつ大切な人を失うか分からないので、家族や友人のことをさらに大切にしようと思う。

選んだ小論文(震災当時、山田南小6年) 『3.11から5年を経た今、私ができること』

 震災当時、私はまだ幼かった。町では煙があちこちから立ちのぼり、店や家などは跡形もなく崩れ、本来の山田町の姿ではなくなっていた。また、私はこの震災で母を亡くし、前に進むこともできないままとなった。そんな時、私を支え、励ましてくれたのが、家族、友人、他の県の方々、そして外国からの支援だ。
 たくさんの方々から支援され、その中で一番心に残っているものは、手紙だ。手紙には励ましの言葉などが書かれており、そのおかげで辛く苦しい日々を乗り越えることができた。また、地域の方々ともお互いに支え合いながら過ごすこともできた。
 震災から五年が経ち、私は今、高校3年生となった。この五年間は、長いようで短い日々でもあった。そして、私がこの五年間で一番学んだことがある。それは、人の大切さだ。私は、もともと人見知りで、人となかなか接することができなかった。しかし、多くの方々に支えられていると気づき、そこから私も恩返しのために多くの方々を助けたいと思い、一年生から三年生まで、町で行われているボランティア活動に積極的に参加した。ボランティア活動に参加したことによって、子供からお年寄りまで幅広い年代の方と接することができ、人と接することが好きになった。
 元の山田町に戻ることはまだ時間がかかるけど、復興することを信じ、人のために生きていきたいと思う。

 

● 実践中や、実施後の参加者の反応

 東日本大震災について、ほとんどの生徒たちが当事者であり強い関心を示す者が多いが、反面、触れたくないと考えている生徒も見受けられる。そのような生徒たちも含め被災地の高校に通学する子供達に、インド洋大津波で同じような体験をしたインドネシア・アチェ州の人々の生活・文化や豊かな自然環境などを伝え身近に感じてもらったうえで、自然災害への対応や国際支援の重要性を紹介することにより、自ら考え・行動していこうとする一つのきっかけになっていると思われる。
 また、自分達と同年代の頃の先輩達が書き残してくれた小論文を読み、その想いや考えを引き継ぎ、自分は何ができるかを考えることで、地域に根ざした防災・減災を繋いでいくことができたと思われる。

 

継続の段階

 

● 課題に感じたこと

 上記『実施した内容』について、対象者である宮古水産高校の生徒達は、震災当時保育園年中・年少であったので、幼いながらも震災の記憶や、その後の復旧・復興時の体験や小中学校での学びがあったと思われる。そのため、地元の身近な先輩達の想いや考えに共感する点が非常に多かったと考えられる。それは、被災地の子供達の想いや考えを、被災地の次世代の子供達につないでいくという面で非常に効果的であるが、反面、他の地域の子供達に伝わるかどうか一抹の不安を感じている。
 しかしながら、中学・高校という多感な時期の子供達はもちろん、多くの人が共感力や想像力を持っていることも疑いのないことなので、この教材が防災・減災教育や復興教育に役立つことを信じたい。

 

● これからの期待や展望

 今後、『身近な自然環境を活用した防災・減災』というタイトルで、「マングローブの役割」と「日本の防災林」について授業を行う予定である。授業実施後、今回と同様に「プリント学習」や「教材化した資料の配布」「代表的な想い・考えを生徒に提示」することで、環境教育(人間と自然との共生について)や国際理解教育(国際支援・異文化理解)、そして防災・減災教育を実施していきたいと考えている。
 また、各地の中学・高校の「総合的な学習(探究)の時間」やNPOのワークショップ等でより多くの人に資料を活用してもらうことにより、南海トラフ大地震をはじめとする自然災害が想定されている地域だけではなく、想定されていない地域も含めたさまざまな地域における防災・減災教育や復興教育等に寄与していきたいと考えている。 

● 実践中の写真(ご提供いただける場合のみ、1~2枚貼り付けてください)

           

【終了しました】9/3木耐協オンラインセミナーで東京大学 廣井悠 教授が講演!

当協会の法人会員 日本木造住宅耐震補強事業者組合様が定期的に開催する「住まいと生活を安心安全に!木耐協オンラインセミナー」が9月3日(土)に開催されます。

今回は、当協会理事の東京大学大学院工学系研究科 廣井悠 教授が「地震時の帰宅困難者対策」について講演いたします。

大きな地震が発生した時あなたはどうすべきか、いま改めて考えてみませんか?

木耐協オンラインセミナー

日 時 9月3日(土)13:30~15:30

開催方式 オンライン

お申込み https://www.mokutaikyo.com/bousai/

【終了しました】8/26ラジオ日本「横浜防災フェア2022特別番組~防災をはじめよう!~」公開収録に東京大学 酒井慎一教授が出演いたします

ラジオ日本と横浜市が、横浜市役所1階のイベントスペース「アトリウム」で「横浜防災フェア2022」を開催します。会場では横浜市の様々な防災への取り組みを展示するとともに、トークステージ、ラジオ日本番組の公開録音を行い、最近の災害事例や傾向、サバイバル術などを専門家が解説するなど楽しみながら解りやすく防災・減災について学べます。

2022年8月26日(金)のラジオ日本「Happy Voice from YOKOHAMA」公開生放送では、当協会の理事で、東京大学総合防災情報研究センター 酒井慎一教授が出演し、日本を取り巻く地震の状況や避難の仕方などをわかりやすく解説します。

お近くの方は、是非、会場へ!

ラジオ日本「横浜防災フェア2022特別番組~防災をはじめよう!~」

日 時 2022年8月26日(金)12時00分~14時54分 

会 場 横浜市役所 アトリウム
    アクセス https://www.atrium.city.yokohama.lg.jp/

    ラジオ日本オフィシャルサイト http://www.jorf.co.jp/?topics=bousaifair_2022

【会員レポート】災害時の車での避難

【会員レポート】では、本協会会員の皆さまから寄せられた防災教育実践報告などをご紹介しています。掲載をご希望の方は、事務局まで情報をお寄せください。また、レポートを掲載された方へのご相談や講師派遣依頼につきましても、事務局までお気軽にお問い合わせください。


情報提供者:幾島浩恵
活動実施日:2022年5月28日~29日
情報提供日:2022年8月4日
連絡先:TEL. 0739-47-0135
Email. .hiroe.ikushima@gmail.com

準備の段階

● 実践・実施のきっかけや経緯

「災害時に車での避難は危険」と言われています。しかし、車でなければ逃げられない人はどうすれば良いのでしょうか?熊本地震では、多くの被災者が車中で避難生活を過ごしました。そして、エコノミークラス症候群などで命を落とされた方もいらっしゃいます。コロナ禍では「分散避難」のひとつに「車中泊避難」もあげられるようになりましたが、「どんな時はダメ」なのか、「やむをえず車中泊」の時には何に気を付けるべきか、逆に「車中泊を選択しても良い時」はいつなのか、災害の種類やタイミングに分けて考えていくことが必要だと思います。また何が必要なのか、普段から心がけておくことについても知り、みんなで共有していきたいです。

● 計画や準備で気をつけたこと

私自身は車の免許を取得した10代後半から車中泊をしていました。キャンプより準備物が少なく、どこででも寝られる気軽な宿泊だと考えていました。しかし「災害時を想定した車中泊」を行うのであれば、「車中泊」のリスクを参加者にも伝え、みんなで一緒に、より安全&快適な車中泊が行えるようにしていかなければならないと思います。

また、コロナ感染が広がっている時は、公衆トイレは使用後に手や身体の触れた場所をそれぞれで消毒すること、もしくは、各自で準備した携帯トイレを、車中もしくは車外で(目隠しの準備もして)行うこと、野外でも家族単位で行動し、ラインで仲間と情報共有することで感染の危険を回避しました。

遠方の方もラインを使って自宅駐車場から参加してもらうことも出来ています。

実践の段階

  • 実施した内容 5月28日(土)~29日(日)

防災VAN泊in上富田⑩」(災害時を想定した車中泊訓練)の実施
 上富田スポーツセンター現地参加5名、自宅駐車場車内からのライン参加7名+お子さん、見学者の計 14名参加。「被災状況」は、それぞれで決める。「台所にあったものを組み合わせて簡易コンロを作り、調理する」「災害時に持ちだすつもりで準備しているグッズを持ちだすことが出来ず、今車中に在るものだけで車中泊をする」「黒いゴミ袋にレトルト食材やペットボトルの水を入れて太陽光で温め、α米の調理をする」「大人数の車中泊は体勢が苦しいため、夜露を避けながら車外で野宿をしてみる」など。

今までには、「車中でトイレを何とかする」「車外でトイレを何とかする」「オムツをつかってみる」「身近にあるものを使ってプライバシーを守る」「ファイアースターターで火おこしして調理」「鉄製灰皿で調理」「キャンドルで調理」「空き缶コンロで調理」「カップ麺を水で作る(美味しい)」「ポップアップテント内でペットボトルシャワーを使ってみる」「ペットボトルとキャンドルで作ったランタン」「親子や夫婦で参加」「ペット同行車中泊」「手作りのタープ、カーテン、網戸、寝袋を使う」「パスタを茹でずにミートソースの中に入れて食べる(不味い)」「バターやサラダ油のキャンドルランタンで明かりをつくる」「ポータブルバッテリーを使う」「市販の便利グッズ、自作の便利グッズのお披露目会」など。

  • 実践中や、実施後の参加者の反応

3月に上富田消防分署のご協力で実施した「車両破壊女子軍団」(車両からの救出&脱出訓練)では、コロナ禍の為、10数名の車両破壊希望女子が残念ながら参加できず、私と撮影者として息子の2名で体験させていただきました。「シートベルトカッターでシートベルトを切る」「ヘッドレストでサイドガラスを割る」「ハンマータイプガラスクラッシャーでリアガラスを割る」「発煙筒を焚く」「バールでドアをこじ開ける(不可能)」「車載のジャッキを使って車を持ち上げる」など、やってみて分かる「意外に難しいこと」を車中泊参加者のトラックの側面をスクリーンにして動画で見てもらいました。より多くの人に体験や見学をさせてほしいと思います。

車中泊で一番困るのが、トイレです。断水で公衆トイレがつかえなかったり、ペーパーが無かったり、豪雨で外に出る事すら困難な場合、車中や、車外で目隠しして排泄する方法をそれぞれの車でできるやり方を考えてきました。市販の携帯トイレだけでなく、段ボール、ゴミ袋、尿取りパッド、ペット用トイレシート、牛乳パック、ペットボトルなどを工夫して簡易トイレを作り、ほぼ公衆トイレを使うことなく過ごすことが出来るようになってきています。

ペット同行避難のお二方は、1人は2回目、1人は初めて。初回時にペット(犬)がストレスで嘔吐して大変だったため、再チャレンジしてくれました。自宅駐車場からのライン参加で犬が近所の生活音に反応して吠える為、近所への配慮も必要との事。車中ではペット用のオムツを使うことも選択肢のひとつかもしれません。避難所に同行避難する場合はケージに入れ、過ごす場所も離れ離れとなりますが、車中であれば室内犬と一緒に寝ることもでき、飼い主、ペット双方の心の安心が保たれると思いました。

「今ここで大地震が起こったら、具体的にどうするか」と言うテーマで現地参加者と、話し合いました。県外からの参加者が2名いたので、自宅に帰ることが出来なくなると考えられ、近い避難所の場所の確認や家族と連絡を取る方法、そして、普段から今回のように遠方の人とも何らかの交流があれば、安心につながると思いました。

現地では、実際に災害の支援に関わられている方から、リアルな災害現場のお話を伺いました。

地面にマットを敷いて、車の後部から車体の下のスキマに頭を突っ込み(夜露よけ)身体はシュラフで寝られるかどうか試しましたが、自分の車(セレナ)では、決して高くはない私の鼻のアタマが擦れてしまうので無理でした。車高が高めの他の車種ならば、可能かもしれません。夏場は虫よけが必須です。

継続の段階

  • 課題に感じたこと

特にありません。コロナ禍でも、野外での活動ですし、緊急事態宣言の頃は、それぞれの車中でラインを使いながらやりとりしていたので密になることなく、遠方からの参加もできる方法です。しかし自宅駐車場からの参加者は近所への配慮が必要です。単身での参加が多いのですが、親子、夫婦、ペット同行避難もどんどん体験して欲しいと思います。コロナが落ち着けば友達と1台の車での車中泊もやりたいと思います。

寒さよりも暑さの方が車中泊には堪えると思います。虫よけや冷却グッズを試したり、標高の高い(涼しい)避難できそうな場所を知っておくことも必要かと思いました。

  • これからの期待や展望

団体として実践を始めて、1年3か月で10回実施しました。最近は県外からの参加者も増えてきました。

自分の車について、もっと知ってほしいです。車種、家族構成、住む地域や気候の違いで、安全&快適に過ごすための必要物品や注意事項は異なります。

原則は「エンジンを切って車中泊」ですが、真冬、真夏にその方法ではかえって危険ということもあるかもしれません。「エアコンを使用しながらの車中泊」について、リスク(一酸化炭素中毒、車両火災、バッテリーあがりなど)と回避方法(駐車場所、ジャンプスターター・ブースターケーブルの使い方、バッテリーのチェックなど)を知り、どのくらいのガソリンを消費するのかを知っておくこと&常にガソリンを半分以上キープしておくことも必要だと思います。

更に、車から脱出、救助するために必要な物を知り、使い方を見につける体験を地元の消防のご協力のもと、更に進めていきたいと思っています。

夏季休業(8月11日∼8月15日)について

8月11日(木・祝日)~8月15日(月)まで、事務局は夏季休業とさせていただきます。
業務開始は8月16日(火)09:30からとなります。


ご不便をおかけしますが、何卒ご理解いただきますようお願い致します。

【報告】防災クイズ&ゲームDay2022を開催しました

2022年7月3日(日)、東京臨海広域防災公園・そなエリア東京を会場に「防災クイズ&ゲームDay2022 inそなエリア東京」を開催しました。

新型コロナウイルス感染症対策のため、体験会における定員及び実施時間を調整し、これまで全8回だった体験会を全10回に変更しました。時間は短くなりましたが、来場者・出展者がより多くの防災ゲームやプログラムを体験していただけるよう配慮しました。各体験会には10~20名ほどが参加し、多くの体験会で満席となりました。

イベント全体の参加者は約330名となり、前回の対面型体験会(2019)の約1,000名に対し三分の一程度となりました。来場者には親子連れも多く、東北大学・シヤチハタ株式会社による「防災・減災スタンプラリー」やヤフー株式会社による「Yahoo!きっず ちょボットの防災道場」といった参加型教材にも100名以上が参加されました。

参加者数は大きく減少したものの、体験会や展示ブースでは参加者の方々や出展者の方々の笑顔や熱意があふれる場となり、対面形式ならではのコミュニケーションや学習効果を再確認する機会となりました。

また、新たな取り組みとして出展者による防災ゲームの紹介動画をYouTube「防災クイズ&ゲームDayチャンネル」で公開、本会ホームページで紹介しています。この取り組みは今後も継続的に行い、様々な防災クイズや防災ゲームについての紹介を追加する予定です。

(詳しくは下記『防災クイズ&ゲームDay2022 in そなエリア東京 報告書」をご覧ください)

【映像】防災クイズ&ゲームDayチャンネル・動画紹介

こちらのページでは 防災クイズ&ゲームDay に出展している団体による動画等ご紹介します。動画は順次追加いたします。2023年4月現在「防災クイズ&ゲームDay2023(7/2開催予定)」の出展者を募集しています。詳しくは こちら のページをご覧ください。

 

▼災害医療クエスト|国立研究開発法人 産業技術総合研究所

  

 

▼避難行動訓練「EVAG 豪雨災害編」|国土防災技術株式会社

 

  

▼EVAG みんなでひなんカップ|国土防災技術株式会社

  

▼災害想定ゲーム「KIZUKI」|NPO法人高齢者住まいる研究会

https://www.youtube.com/watch?v=ds7BKbTTVS0

 

▼防災「実験&クイズ」|岡村智樹

 

▼防災クイズ&ゲームDayチャンネル
様々な教材や体験プログラムの動画をご紹介します(随時追加します)。

https://www.youtube.com/channel/UC9q9LccW5UwtB6jSmjVWw6w/featured