教材・事例紹介

「総合的な学習の時間」単元づくりで防災教材・事例紹介

千葉県八千代市内の小学校で、教育センター主催による「総合的な学習の時間」単元づくりについての研究会が行われました。『生命の大切さを考える防災活動』をテーマに、防災とは何か、災害と防災対策の基本、防災活動での要点等についてご紹介しました。

また、新学習指導要領を踏まえた防災教育の展開と「主体的・対話的で深い学び」につながる、防災教育教材について模擬授業を行いました。使用した教材は、NPO法人日本トイレ研究所さんが作成した『災害時のトイレアクションを学ぼう!』と、NPO法人高齢者住まいる研究会さんが作成した『まちのBOSAIマスター』です。

各教材の資料及び学校教育での使用方法等につきましては、弊会でもご紹介しておりますのでお気軽にお問い合わせください。

(カードを使った防災ゲームで用語・知識を覚えてもらう)

(トイレの問題を通じて要配慮者への支援やアクションを考える)

養護教諭研究会でワークショップ、避難所での対応を考える

埼玉県内の養護教諭研究会主催研修で、避難所運営ゲーム(HUG)を用いたワークショップを実施しました。新潟県中越大震災、東日本大震災、平成28年熊本地震等での事例を示しながら、避難所での課題や養護教諭に求められる備え・対応などについてご紹介しました。

養護教諭は各校に1~2名しかいないことに加え、学校が避難所になった場合は衛生上の課題もさまざまです。全てを養護教諭だけで対応することは難しいため、事前に防災教育として災害トイレ・食と栄養・睡眠の確保について伝えておくなど対策の要点をご紹介しました。

(担当:宮﨑)

神奈川県安全防災局・教育委員会連携教員研修で教材を使った模擬授業

神奈川県安全防災局と県教育委員会・教育事務所が連携して開催する『平成29年度学校保健・学校安全研修講座』で、防災教育の重要性に関する講義と、防災教育プログラム「避難誘導に協力しよう!」を用いた模擬授業を行いました。7月4日と21日の2回にかけて行われ、合計で約200名の教職員が参加しました。

同プログラムは、株式会社地理人研究所 様[外部リンク]のご協力を得て作成した、主に中学生を対象とした防災教育教材です。参加者は地震が発生した仮想の街に住む中学生となり、校内図面と周辺地図を用いて、様々な避難者の誘導に協力します。

具体的で自由度の高いシナリオとリアルな「仮想の街」の地図、教材用に区分けがしやすい校内図面などを用いることにより、どんな場面でも扱えるプログラムになっています。なお、同プログラムで使用する教材集(下記)は、無償で提供しています。改変・再利用等も自由ですので、各校各地域の実情に応じてご活用ください。

【教材セット】避難誘導に協力しよう

 ◆指導用スライド(PowerPoint形式)
 ◆児童生徒用説明資料(Word形式)
 ◆訓練用シナリオ(Word形式)
 ◆座標付き学校間取り図(PDF形式)
 ◆周辺地図(PDF形式) 

 

冒頭の講義では、新学習指導要領に照らし合わせて考えるこれからの防災教育のポイントや、東日本大震災において当時「奇跡」と呼ばれた事例が、奇跡ではなく防災教育や地域活動での結果に基づく「できごと」であったことなどを紹介しました。

また「どのような学びが児童生徒の命を守ることにつながったか」といった点についても、調査結果や具体的な事例を交えてご紹介し、今後求められる防災教育のあり方に関する具体的な事例として『地域における防災教育の手引き』の解説を行いました。

その後、各学校で自由にアレンジすることもできる防災教育プログラムを用いて、実際に児童生徒に実施した際の時間配分や説明の流れを用いて「模擬授業」を行いました。

まとめとして「防災教育や防災ゲームは、実践してみなければ分からないことがたくさんある。ほんの小さなこと、マネできるところからでもよいので、積極的にチャレンジしてみてください」とお伝えしました。

参加した小中学校等の教員からは「防災教育の優秀事例ばかり見てきて、自校でできるか不安だったが、できるところからで良いと聞いて安心した」、「避難誘導のゲームはすぐに教員研修や生徒に使えると思った」といった感想がありました。

(担当:宮﨑)

コミュニティ・スクールを通じた災害に強い地域の輪づくり 埼玉県で

埼玉県立総合教育センターが例年実施している「災害に強い地域の輪づくり講座」を平成29年度も弊会が担当しました。同講座は、県内の学校や公民館の教職員や教育関係部署、市区町村防災担当部署などが幅広く参加する一日研修です。例年は「避難所運営」を中心的なテーマとして行ってきましたが、本年度より『災害に強い地域の輪』についてより具体的な説明と提案を加えました。

埼玉県では文科省が進める『コミュニティ・スクール』の推進に力を入れており、本講座参加者の多くが関心事としていました。そのため、午前の部では「災害」とは「被災者・復興」とは何かといった基本的な問いについての説明から、「地域の輪」をつくるための防災教育、新学習指導要領で示される要点との関連などを中心にお話しました。また『地域における防災教育の実践に関する手引き』を紹介し、具体的な防災教育実践のヒントをご紹介しました。

午後の部では『避難所運営ゲーム(HUG)』を使ったワークショップを行いました。アクティブ・ラーニングを意識した話し合い(学び合い)の工夫、夜間に実際に「避難所運営本部会議(緊急)」が開催されるという想定での振り返り、ワールドカフェ方式での共有など、参加者が防災だけでなく日々の学校教育や地域教育で役立つポイントを交えながら進行しました。

 

総合教育センターが実施したアンケートでは、6時間以上に及ぶ長時間講座ではありましたが「内容や難易度など分かりやすい内容であったか」、「今後の教育実践に役立つ内容であったか」という評価軸において、全ての参加者の方から「そう思う」とご回答いただきました。